三嶋大社の周辺・直近 本場中国の味
チャイナキッチン 杭州
~店主のこだわり~
第一のこだわり:料理は六感で食べる
現代では世界中の食べ物がお金さえ出せば日本に居ながらに食することが出来る世の中です。 その中で私たちは日々何を食べるか何を食べたいか自問自答しながら一生食べ続けるわけです。料理の美味しさは何で決まるかご存知ですか。明日の活力を得たり生命維持は欠かせません。
勿論(味)そのものは絶対です。でもそれだけではありません。味の三要素は「味、香り、見た目」です。
これは、「味覚、嗅覚、視覚」です。ほかに聴覚、触覚の五つがあります。五感を全て使い食べた時美味しく食べられます。私はもう一つ加えて六感(気持ち、雰囲気)にしたいのです。
それは料理のルーツや生い立ち、豆知識、うんちくを知ったらもっと美味しく楽しく召し上がることができます。私は長年この仕事をしていますがまだまだ分からないことだらけです。いろいろな方の情報をお待ちしています。例えばメニュを見るとその料理の切り方、主な材料、料理ができた言われ、作った人の名前等が判ります。
他にも医食同源、不老長寿、萬漢全席等奥深いことだらけです。歴史や文化を知れば当時の人の面影が偲ばれます。こんな考えを持つ方に共感して頂けましたら光栄です。
店主 敬白
第二のこだわり:4000年の歴史を刻む中国料理
【中華料理」と言ってもこれほどざっくりとした曖昧な表現はありません。一口に中華料理と言っても多種多様で場所、気候、民族、宗教、習慣、食材でそれぞれの特色を発達させて今日に至っております。山一つ越えれば全く違う言語、文化、食生活をしている事は珍しくありません。32の省56の民族の広大な中国ですから、火を見るよりも明らかです。よく北京料理、上海料理、広東料理、四川料理を中国4大料理と便宜上しています。郷土料理を加えれば膨大な数になるでしょう。
私はそのうちの四川料理にたまたまご縁を頂いて半世紀やっと入り口にだどりついた程度です。4000年の歴史を刻む中国料理を制覇するのは不可能と言う他ありません。
謙虚になればなるほど奥深さを感じます。
店主 敬白
~料理法へのこだわり~
油淋鶏
油淋雞(ユーリンチ:鳥の唐揚げ):この料理も四川料理独特の料理の一つです。総菜店で売っている汁なし唐揚げは「炸雞」と言ってポピュラーな鳥料理です。二つの大きな違いは、揚げた後で独特の甘ダレをかけて召し上がることです。
チャイナキッチン杭州では、もちろん炸雞は作れば作れますが特徴的なメニューとして店の看板として油淋雞を出しています。後からタレをかけるのですから、下味は控えめにして皮目はパリッと中はジューシーになるよう工夫してあります。鳥のモモ肉は鳥の胸肉より味がよく脂肪が多いはずです。ですから胸肉を中温で満遍なく油を掛けながらじっくり揚げます。
油淋とは油を掛けながら調理する方法です。最後にはそれでも高温で仕上げるので油ぎれは良くしつこさは全く感じられません。上にかけるタレは日本人向きに甘めに酢を利かせてさらにあっさりと仕上げてあります。
酒の肴にもご飯にも合うことは食べた人しか味わえない一品です。
回鍋肉
回鍋肉(ホイコーロウ):これも四川料理の店に行ったら定番中の定番で日本人もよく注文する一品です。鍋を回すと書いてあるけどひっくり返すわけではありません。二度3度火を通して最後は全部合わせて作ると言うものです。
もともと日本に四川料理を広めた陳建民が日本人に合うようアレンジしたと聞いています。
四川では材料もキャベツではなく葉にんにくで作り調味料も独特で辛めに作っていました。
今のように甜麵醬(甘味噌)味は食べやすさが優先しています。
当店の甜麵醬(テンメンジャン)は自家製で2ヶ月に一回作ります。大豆を主成分にした八丁味噌をベースに醤油砂糖老酒を入れて3時間ひと時も休まずかき混ぜ焦がさないよう細心の注意をはらい練り上げます。
味付けは料理の部類では濃い味で出します。(名古屋の八丁味噌料理も結構味が濃い)
味噌料理は薄いと美味しく感じません。(味噌田楽)(五平餅)(味噌カツ)
麻婆豆腐
麻婆豆腐(マーボードウフ):すっかり外来語が定着しました。今では誰でも知っている豆腐料理になりいずれはカレーライスやハンバーグと肩を並べるでしょう。日本人は外国の文化を定着させるのが得意な国民です。麻婆豆腐もしかりです。
どこの麻婆豆腐を食べても甘い麻婆豆腐なんですね。当店は一切砂糖は使いません。四川料理店では豆腐料理に砂糖は入れません。豆腐本来の個性(味)を損なうからです。砂糖を入れた料理は最初は美味しく感じられます。でも何回も食べていると飽きてきます。ですから直接入れるのではなく食材から引き出すのが肝要と思って作ります。回鍋肉に使う甜麵醬(八丁味噌をベースに練り込んだ味噌)と豆豉(大豆を発酵させた乾燥納豆)薬味で甘さを引き出せば十分美味しく食べられます。豆瓣醬(そら豆と唐辛子を発酵熟成させた辛子味噌)も大事な役割を担います。この料理の大事なことは手順です、豆腐は90%以上水です、最後に入れないと水っぽい麻婆豆腐になってしまいます。じっくり弱火で煮詰めて中まで味が染みるように工夫します。
炒豬肝(レバー炒め)
炒豬肝(レバー炒め):店主一押しの一品です。お客さんは口を揃えてここのレバーは他店と比べて一味違う。詳しくはわからないけど食べて美味しいとコメントを頂いています。大概の中華のお店では出しているポピュラーなレバー料理です。レバニラが多い感じがします。中にはモヤシや野菜炒めのようにレバー入り野菜炒めのようなものまであります。当店はシンプルでレバー、ニラ、それに薬味のみです。ボリューム感はないですが、一皿で十分満足するし、ライスにも酒の肴にも合います。
味を決めるのは先ず鮮度です。肉屋さんのケースに飾ってあるのは買いません。いつ仕入れていつ切ったかわからないからです。丸の一頭分を予約しておいてそのまま買ってきます。注文が入ったら小分けして切り分けます。マグロの切り身と同じ理屈です。切っておくとドリップが出るのは魚と同じで90パーセント血液ですから、気を使います。あとはレバー特有の匂いです。薬味とニラ、ニンニクで消してしまいます。次は味付けで酢を入れることで癖を消しています。どうしても火を通しすぎると硬くなる性質を持っているので生にならない、硬くならないタイミングが難しい判断です。8分通り火が通ったら一旦火から下ろして調味料薬味ニラを投入してからレバーを戻し手早く炒め仕上げます。
魚香茄子
魚香茄子(ナス炒め):ナス料理は数多くありますが9割以上のお客さんが満足する自信作です。当店のナス炒めは「麻婆ナス」ではありません。魚香と言う四川独特の味付けで炒めたナス炒めです。※四川は内陸部ですので海の魚は獲れません。そこで海の香りを似せた魚香と言う調味料で調理します。地理的盆地にあるので当然夏は暑く冬は寒くおまけに日照時間が数時間しかない時期もあります。そのため他では見られない創意工夫がいたるところに現れています。中国4大料理を見てもこれだけ複雑怪奇な味付けを施す料理はありません。
味付けは魚香というけど甘さ、辛さ、酸味、塩辛さがバランスよくどれが主張するでもなく、数種類の薬味と絡み合い絶品という域に達しています。昔四川料理人の試験には材料を替えてその食材に適した魚香の味付けが出来るか腕を試したそうです。要するに食材を見てそれに会う魚香の味に仕上げなければならないわけです。
蛇足ですが「秋茄子は嫁に食わすな」と昔の人はよく言います。これは邪険にして美味しい秋ナスは嫁になんか食べさせないという説と嫁の体を気遣って冷える秋茄子を食べては体に毒だという説があります。
黑醋丸子
黑醋丸子(黒酢の豆腐団子):これも当店オリジナル料理の一つです。甘酢団子はどうかすると出している店もあります。こちらの団子はミンチだけを団子にして醤油の甘酢のタレを絡ませた料理です。
もう一つ似たような肉団子が「紅燒獅子頭」です。宴席料理に登場する煮込み料理です。
脱線しますが「紅燒獅子頭」は江蘇省揚州の名産です。なぜ中国の東に位置するところでアフリカの獅子(ライオン)に出会えるのか疑問です。明朝に作られた西遊記には3人が武器で獅子を捕えたとあります。近代では獅子踊り、神社仏閣の門前に二体の石獅子等中国では獅子はメジャーで勇猛果敢な象徴です。(日本の狛犬)も何かしらゆかりがあるかも知れません。)
当店では木綿豆腐を裏ごしして、数種類の野菜とひき肉を混ぜ団子状にして油であげます。これに中国鎮江香醋(黒酢)を使って甘酢を作り絡ませます。
紅燒獅子頭はまだまだ面白いエビソードがありますが次回にご期待ください。
魯肉飯(ルーロー飯)
魯肉飯=滷肉飯(ルーロー飯):絶対の自信作です。自画自賛はいなめませんが食べた人は嫌いだという人はいませんでした。台湾では庶民食で料理屋さんは出していません。屋台飯の感覚で何処でも行列をなしています。これにスープとあと一品副菜をつければ一食が賄えます。日本では出しているのは台湾出身のお店ぐらいです。朝早くから仕込んで昼に間に合わせるほど手間はかかります。当店でも以前は出したことはありましたが焦がさないように付きっきりが出来なく断念しました。それでもリピーターが是非ともとの要望で復活しました。
豚肉、モヤシ、ニラ、高菜漬け、味付け煮卵とシンプルですが奥深さはなかなかの出来栄えです。角煮ご飯(扣肉飯)とよく比較されますが、全然別物です。角煮は香料が強い甘辛に仕上がっていますが魯肉飯は若干薄味で混ぜて食べるためとろみはつけません。現地の弁当には欠かせない一品で必ず入っています。
台湾では具材が違ったり(高菜漬けの代わりにたくわん)だったり煮卵ではなく目玉焼きだったりいろいろです。おそらく日本人を意識して変えたんだと思います。なぜならたくわんや生卵を食べる文化はないからです。これからは国民食になるやも知れません。
担々麺
担々麺(タンタンメン):担々麺=庶民的な中華麺です。巷には油そば、まぜそば、和風ラーメン、洋風ラーメン、ラーメンの定義がわかりません。担々麺の「担」は担ぐ、天秤棒で担いで売り歩いたと記述には載っています。ですからなみなみとスープが入っていたらこぼれて運べません。担々麺は汁が少なくて王道です。いつしかスープ有りと汁なし坦々麺の2種類に分かれてしまいました。
恐らくは汁有りは日本でアレンジされたものでしょう。
当店の担々麺はトッピングはしていません。青ネギだけ乗っているだけです。あとはスープに全て溶け込んでいます。芝麻醬(胡麻味噌),ひき肉、甜麵醬,全てを飲み干せるよう調整してあります。最後に酢を効かせるのも当店の特色です。こうするとくどさが入って和らぐというか後味がさっぱりとします。麺ですが、太麺を使用してます。麺の性質上細麺はあっさりしたスープに太麺は濃厚な麺が絡み具合がいいのです。
什錦湯麺(タンメン)
什錦湯麺(タンメン):タンメン=漢字は湯麵と書きます。要するに中国では汁そばを総称して湯麵(タンメン)と言います。固定した固有名詞ではありません。他方で炒めそばを炒麵(チャオメン)と言います。
ですから、湯麵(タンメン)も日本オリジナル商品ですね。余談ですが長崎は福建省の華僑が多い土地柄で「ちゃんぽん」があります。挨拶言葉で「ご飯食べた?」と言うのを「你吃飯了嗎?」といい、福建語では「リ チャポンボ?」と発音します。この言葉を「ちゃんぽん」と聞き違えた日本人が、たまたま食べていた麺のことと勘違いして「ちゃんぽん」となったようです。
そのときの日本人がお金をあまり持っていなかったので、食べていた汁そば(湯麵)が安い野菜をふんだんに入れた麺だったようです。チャイナキッチン杭州では、湯麵(タンメン)は、特別な麺ではなく庶民的なシンプルな麺をイメージしています。この麺だけは塩味だけで仕上げてあります。細麺を使用して色々な野菜を具材として海鮮スープで誰にも好まれる上品なスープです。
蝦仁麵(エビそば)
蝦仁麵(エビそば):その名の通りエビが具沢山の汁そばです。エビは結構好き嫌いがあるようです。甲殻類アレルギーがそうです。他方でエビカニ好きも結構多い気がします。料理人が戸惑うことがあります。お客様が殻付き、皮付き、骨つき、脂身付きを嫌う傾向があります。他にもセロリ、ネギ、グリンピース、玉ねぎも嫌われます。
エビそばの中には玉ねぎ、ピーマン、キクラゲ、エビが入っています。嫌えば食べるものがありません。
海老はあらゆるジャンルの料理にも登場する優等生です。繊細で美的な味を醸し出す気品溢れる食材です。それ故嫌う調味料も多い。醤油、味噌、刺激の強い香料もダメです。塩味がベストでしょうね。当店は塩味に醤油を若干入れています。スープとエビの臭さを感じさせないよう。塩だけではないのです。タンメン(野菜そば)は塩だけで味付けをします。臭みを抜く方法はいろいろあります。ネギ生姜で仕立てる、醤油味を濃くする、料理酒、カレー味を強くする等ケースバイケースです。
あんかけにする効用も理由があります。舌触りが滑らかになるし料理が冷めにくい特性がありますが、逆にシャキシャキとした感覚は味わえない、素材の本来の持ち味が出しにくい等マイナス面も併せ持ちます。人は年を取ると若い時のようなワイルドに食事が出来にくくなります、好みもあっさとした腹持ちが良い食べ方を自然に心がけてきます。自然です。ご自愛ください。
焼餃子(鍋貼,煎餃)
焼餃子(鍋貼,煎餃):餃子とラーメンをやっていない中華食堂はないでしょう。餃子とラーメンを出してるから中華だと確信するんですね。当店は餃子は3種類あるけどラーメンはメニューにありません。お客さんはどんな店だと思っているのでしょうか? 人それぞれの捉え方をしているようです。そもそも中国ではほぼ100パーセント水餃子を売る店が多い、焼き餃子を売る店を探すののは苦労します。昔家の主人家族は水餃子を作らせて食べて残った冷めた水餃子を焼き直して下働きたちが食べたと言います。後に戦前日本の兵隊さんはそれを見て覚え帰国して全国に広めました。ですから当時は水餃子というものは知らなかったのでしょう。餃子といえば宇都宮、浜松というくらい今では有名になりました。全て兵隊さんの持ち帰った手土産だったんでしょう。
当店は焼き餃子は生のキャベツを刻んで挽肉に練りこんでいます。水餃子は一旦茹でた白菜やキャベツを絞って挽肉に練り込むのですが焼く時の火の通し方が違うので生か茹でるかで違いが出ます。もっと違いが出るのは野菜の水分量です。夏野菜か冬野菜かで水分量が相当違ってきます。甘味だってもちろん差があります。キャベツ一つとっても春キャベツは水っぽく葉が締まっていません。それが夏になるに従ってだんだん硬く葉が締まってきます。計量だけでは計り知れない勘が必要です。水分、甘味、苦味も考慮して調味料の分量を調整します。これが正確に判断できれば美味しい餃子が出来ること間違いありません。
紅油水餃
紅油水餃(辛ごまダレかけ水餃子):名前の通り辛ごま水餃子で、水餃子に後からタレをかけて食べる水餃子です。一般的に中国東北部で食べられている水餃子は小皿にラー油、酢、醤油を入れて付けて食べる普通の水餃子もあります。
この紅油水餃はやはり四川だけです。かけるタレは独特のソースを混ぜて手作りのラー油で作ります。ラー油も手作りですがソースが手が込んでいます。甜醬油(テンジャンユ)ですが醤油紹興酒、砂糖と7種類の香料を弱火で1時間以上煮詰めて半量になるまでゆっくり炊き上げます。
この甜醬油にやはり手作りの芝麻醬(練り胡麻味噌)とラー油を混ぜてソースを作り水餃子にかけますからら美味しいはずです。
ちなみに日本では餃子と言えば焼き餃子を連想させます。中国では昔水餃子は主人たちが食べ、残りを温めて焼き餃子として下働きが食べたと言います。
春捲(春巻き)
春捲(春巻き):春巻きも日本人のオリジナルと言えましょう。これは合理的とも言えます。サンドイッチのルーツがポーカーをやりながらでも食事が出来る食べ方はないものか考えて行き着いた食べ物がパンにハムや野菜などを挟んで食べたらいいだろうと考案されたのがサンドイッチと聞いています。
中国では「潤餅」が一般的で春節の際食べるので春の字が使われています。中の材料もざっと10種類はあるでしょうか、油では揚げないでフライパンで薄く焼いた皮(餅)と言う小麦粉で作った皮にモヤシ、卵、エビ、肉、ニラ、ピーナッツ、キャベツ、等等を載せてくるくると巻いて揚げずに食べるのが一般的です。こうすればテーブルを囲んで食べるのは楽しいし、各自好きなものも食べられます。日本の御膳でもそうですが一人一人のおかずを盛り付けるのがもてなしの文化とする日本にはワイワイと円陣を囲んで食べる文化はありません。
色々な材料を一人一人に同じように取り分けるなら材料を包んで揚げる方が効率的と言うものです。春巻きもあまりに一般的になりすぎて形や方法を変えて作ればまたそれも楽しいかも知れません。ベトナムの生春巻きのように。
燒賣
燒賣=焼売(シュウマイ):餃子が東北地方なら焼売は香港広東地方でしょう。
シウマイなのかシューマイなのか迷うところです。崎陽軒は前者ですよね、広東語なのでそう聞こえるようです。今ではお惣菜といったほうが早いくらいです。
当店も酒の肴に一皿どうですか?と言って出しているぐらいです。よく餃子ライスを注文するお客さんがいますけど、シュウマイライスを注文するお客さんは皆無です。イメージ的にご飯には向かないで、主食としてそのまま食べていただきたい点心です。
もちろん甘みを出すために玉ねぎのみじん切りを入れます。豚肉は店でミキサーにかけて二度引きしてから使います。脂身の少ない肉をチョイスします。決して市販のひき肉は使いません。なぜならどこの部位かわからないからです。市販のミンチ肉にはいろいろ入れられますから敬遠してます。粘りが出るまで手でこねます。十分粘りが出たら水分を絞った玉ねぎを投入して塩だけで仕上げます。
甕だし紹興酒
紹興酒(しょうこうしゅ):私は下戸ですがお客さんに聞いてだんだん中国酒がわかるようになりました。
中国酒をざっくり分けると蒸留酒、醸造酒、薬酒に分類されます。
紹興酒は別名黃酒という醸造酒です。アルコール度数は15、16度で、甕(カメ)で3年から10年と寝かせて熟成させた老酒です。中国全土に老酒はありますが、浙江省紹興で作られた老酒を紹興酒と呼ばれます。
昔は娘が生まれるとその年に紹興酒を作り嫁に行く時持たせると言った習慣がありました。10数年間と長年寝かされたお酒はまったりとしたコクのあるやや甘めになるようです。
このカメだし紹興酒は關帝という銘柄で5年もので直にカメから出すので芳醇な香りと飲み口がいいと評判です。陳年酒(長年寝かせた紹興酒)より量が飲めると好評です。
お客さんの中には紹興酒通な人がいて「今回の紹興酒は以前より一層美味しい」と利き酒ができるツワモノもいらっしゃいます。
台湾陳年紹興酒
台湾陳年紹興酒:台湾紹興酒は多種類ある中で陳年がランク1位であっさりした上品な気品ある紹興酒です。
中国では紹興酒は、お燗したり砂糖を入れたりして飲みません。
昔毎年皇帝に紹興酒を造り酒屋が献上する際氷砂糖を添えて献上していました。
その様子を造り酒屋の主人はじっと見ていてもし皇帝が砂糖を入れて飲むようだったら今年の紹興酒の出来が悪かったと悟ったということです。出来が良ければ砂糖なんか入れずとも美味しく召し上がってもらえるわけです。いわば砂糖を入れなければ粗悪で飲めないと言うことです。そんな逸話が今日砂糖を入れる習慣だけが残っているようです。
このエピソードを知っていたら味も見ずに氷砂糖を入れて飲むのは失礼ということになります。中国ではお燗したり砂糖を入れたりして飲みません。あくまで常温です。